最近注目の防災対策:地震シェルター、津波シェルターの話題

普段とは話題を変えまして、地震津波、防災グッズのお話です。
最近、家庭の防災対策として、地震シェルター、津波シェルターという防災設備が注目されています。

南海トラフ地震の恐怖
2012年8月に内閣府が発表した、南海トラフ地震の被害予想は大変な反響を呼びました。
政府が発表した被害規模は、2011年3月の東日本大震災をはるかに上回るものでした。
経済損失は被害額200兆円(東日本大震災の10倍)、死者は30万人(東日本大震災の20倍)というのが最悪のケースでの想定です。
このような甚大な被害になる理由は、人口密集地である関東から東海、近畿が被災地域になるからです。
また、特徴として、死者30万人のうち70%が津波による死亡という予想です。
高さ20メートルを超える津波が8都道府県におよび、津波による浸水面積は東京都の半分にあたる1000平方キロメートルにも達するそうです。
地震において最も恐れるべきは津波なのです。(もちろん家屋倒壊もとても危険ですが)
南海トラフとは、四国の南の海底にある水深3000メートル以上の深い溝(トラフ)のことをいいます。
南海トラフ地震活動が非常に活発で、このために日本の太平洋側は世界でも有数の地震発生帯となっています。
南海トラフ北端部は静岡県駿河湾にあり、別名駿河トラフとも呼ばれています。

・移動式シェルター
そのような中、家庭における防災設備の方法に、大きな変化が起きています。
「移動式シェルター」という家庭用防災設備シェルターが普及し始めているのです。
以前は、大地震に備えた家屋の防災設備は、
「家屋に強固な耐震構造工事、耐震工事をする」
「一戸建ての家であれば、地下に地下シェルターを建設する」
というものでしたが、これらはほとんど普及していないというのが実態です。
理由は簡単ですがコストが高すぎるためです。最低でも数百万、高いものは数千万円の導入コストがかかります。
そして、もし地震の被害で家屋が倒壊したり、津波の被害を被った場合、その家屋は瓦礫となってしまいますから、完全に無駄になります。
そこで考え出されたのが「移動式シェルター」です。
移動式シェルターはその名前の通り、家屋に据えつけたり固定するのではなく、家屋内や庭に「ただ置く」だけのシェルターです。
直径1〜1.5メートルほどの球形をしていることが多く、大人4〜6人がその中に避難することができます。
FRPという、金属より強くしかも軽い材質でできていて、家全体が倒壊してきたりしても中にいる人の安全を守れるほどの耐久力があります。
また、シェルターは密閉性が強く、シェルターに避難してドアを内側から閉めれば、津波の浸水の被害から逃れることができます。
さらにシェルターは軽いので人が乗り込んでも水に浮くので、津波にのみこまれても水の流れにのって流れていきますので、
救助される可能性が高まるわけです。
移動式シェルターはコストも魅力的です。高いものでも100万円以下。50万円前後の商品が多いです。
FRPは数十年は腐食しないといわれる素材ですので、メンテナンス費用も安価です。
もちろん、転居や、家屋が地震被害で倒壊したとしても、移動式シェルターは移動が可能ですから、無駄にはなりません。
地震津波用の移動式防災シェルターは、こういった理由で人気が高まっています。


・防災シェルター ノア
移動式防災シェルターで最も有名な商品は「防災シェルター ノア」ではないでしょうか。
ノアは株式会社NCPという会社が販売元となっているようで、代理店がいくつもあるようです。
2011年に発売されたノアは、新聞(読売新聞・日経産業新聞・リフォーム産業新聞など)や
雑誌(住宅ジャーナル/日経トレンディなど)、TV(ワールドビジネスサテライト等)マスコミに多数掲載され、一躍有名になりました。
黄色い球形のシェルターです。
球体は強度に優れ、強い衝撃にも耐えられ、障害物を避ける特性を持ち、強化プラスチック(FRP)真空成型という工法で作られているようです。
小型4名タイプΦ1200(組立式)が535000円、小型6名タイプΦ1500(組立式)が711900円だそうです。
メディアにも多数掲載され、多くの利用者がいるようですが、最近は気になる記事が週刊誌にも載っています。
2013年02月16日のフライデーでは、被害10億円!(震災商法の闇)「津波シェルター(ノア)」の水漏れトラブル、という記事が掲載されました。
記事によると、
「庭に置いておいたら、中に雨水がたまっていた」(購入した客)
「北海道の自治体が実験で海に浮かべたところ、みるみるうちに沈んでしまった」(千葉県で販売代理店を営む男性)
といったトラブルがあるようです。
また、商品以外の部分でも、部品発注先企業に代金を払っていなかったり、出資者に資金を返還していないなど、
そのようなトラブルの可能性があるかのような記事が掲載されていました。
高額の商品ですので、購入する際には、商品性能だけでなく、製造元や販売元の企業に問題がないかも調べたほうがよいのかもしれません。


地震津波シェルターHIKARi(ヒカリ)
今年発売された、新しい防災シェルターがあります。
光レジン工業という、FRP業界で40年以上の長い歴史がある企業が製造、販売するHIKARi(ヒカリ)というシェルターです。
外見はノアと似ています。ノアの製造でも部品の一部は光レジンが製造していたようです。
直径120センチ、重さ80キロ、大人4人が避難できるという点もノアによく似ています。
価格は525000円とのことです。
地震/津波シェルターHIKARiホームページで確認することができます。
特徴は、製造から販売までこの光レジン工業で一貫して行っていること。ノアの場合は製造や販売を多くの会社が行っています。
耐荷重圧15トンとあります。上からの圧力に対して耐久力があるようです。
加工技術が、従来のハンドレイアップ方式ではなく、「L−RTM工法」という新技術で作られているとパンフレットには書いてあります。
またパンフレットによると「内部スイング機能」という機能があります。
内部スイング機能とは、シェルターの中に柱があり、この柱を中にいる人が操作することで、シェルターの向きを調整できる機能らしいです。
ホームページや地震/津波シェルターHIKARiブログで商品の説明や実験動画が紹介されていました。